雨の日のたわごと
日照時間が足りない。
もう、一週間近く雨が降り続いている。
カビる。
身体がカビそうだ。
人間にカビが生えると水虫と呼ぶ。
全日本人から嫌われる病気だ。
水の虫だ。
本当の名前は「白癬菌」というらしい。
このカビに侵されると、周りの人間からも嫌われる。
なぜなら
感染するからだ…。
日本のお父さんは、娘の前で自分が水虫だとは絶対に言えない。
たとえ感染していても、最後まで隠し通そうとする。
ただでさえ避けられる思春期の娘にバレたら、親子関係が終わる。
それどころか、
「お父さんのお風呂の後は入りたくない」
「裸足で歩かないで」
そんな言葉を浴びせられる可能性すらある。
「娘命」の父親だったら、心臓に杭を打ち込まれる衝撃だ。
だから、こっそり、薬を塗る。
決して、バレてはいけない。
薬を持っていることを知られてもいけない。
娘を持つ母親である私は見た。
元夫のカバンの中に、水虫用の塗り薬が入っていたのを…。
私はその後、
玄関やお風呂のマットの毎日洗濯。
床の重曹洗剤シートでの拭き掃除。
家族全員の専用スリッパの購入。
という、対処をした。
だから、娘は知らない。
父親が水虫だったことを…。
離婚したので、知らないままでいることになるだろう。
今にして思えば、
あの時は
「なぜ私にも言ってくれないのか?」
と思っていた。
でも、長い年月を経て振り返ると、
彼は元々、都合の悪いことを人に話さない人だったのかもしれない。
離婚して一人暮らしになり、
他者からの感染に怯えることはなくなった。
そこは気が楽になった。
なのに、
カビに家具を汚染され、
ノコギリで分解することになるとは…。
カビ🦠。
父親の秘密も、
家具の裏側も、
人生の問題も。
なぜか人間は、
見えないところから侵食されるのである。


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